第3章 身近
数分前にお兄ちゃんの所へ行った時。
『お兄ちゃん、ここ教えて欲しいんだけど…』
資料プリントの分からない所をお兄ちゃんに聞くことにした。
「……」
お兄ちゃんはパソコンの画面と資料プリントを交互に見ながら文字を入力する。
気付いてないのかな、と思ってもう一度声をかける。
『お兄ちゃん…』
そう言うと、気づいてもらえた。
「あ、ごめん…ちょっと忙しいから後でいい?」
『えっ、あ、うん…』
期待していた返事じゃなかった。
少し寂しく感じた。
けど仕方ない。
理由は分からないけど、この前から依頼数が多くて報告書などが大量に増える。
だから忙しい。
私も大変だから、お兄ちゃんの気持ちが分かる。
そう考えながら自分のデスクに戻った。
それから何も話していない。
こんな感じでお兄ちゃんはなんだか私を無視している。
気にしすぎとか考えすぎとか思うけど、そうだとしか思えない。
本当に私の気にしすぎだといいけど。
気になったら本人に聞けばいい。
仕事中は無理だから、帰る時に聞くことにした。