第2章 冷たい雨
だんまりとした空気で、夕食の時間を過ごした。
料理の味は、文句なしだった。
──私もこのくらい…!
作りたい、作れるもん!という気持ちが芽生えたは朝早起きして2人が寝ている間に調理の準備をした。
けどなかなか上手くいかず、困難な状況になった。
豚肉と野菜の炒めものを作ろうとしている。
作り方はなんとなく分かる。
は材料を取り出し、指を切らないように慎重に包丁で切っていった。
野菜を切り終わると、フライパンを出して表面を水洗いする。
焜炉の火をつけ、フライパンをあたためる。
そのまま油を入れてしまった。
そのせいで油がはねて、の方にもとびちった。
『熱っ....』
咄嗟に手を引っ込めて、は火の強さを弱火にした。
それからは順調よく進んだ。
が、また自分の不注意で熱々のフライパンが手に当たった。
熱いのは嫌いだ。
孤児院の頃に職員から折檻された記憶を思い出してしまう。
ふっーふっー、と冷ますように息を吹きかける。
少し火傷した手をはもう片方の手で軽く握りしめる。
口元に手を当てて、あの頃の記憶を忘れされるように目を閉じた。