第2章 冷たい雨
居間に戻ると鏡花は、夕食の準備をしていた。
それ私がするよ、と言えずはただぼう然と立ちつくすことしか出来なかった。
立っていると不意にここに居る意味あるのかな、と疑問に思った。
ろくに仕事や料理が出来ない自分に。
ぼー…とそんなことを考えていると、鏡花が手招きをした。
呼ばれているのかな、私に用があるのかななど躊躇して考える。
恐る恐る近付くと、鏡花は小皿に味噌汁を少しの量注いでいて、ふうふうと冷ましている。
「味見してみて」
差し出された小皿を受け取って、味噌汁を呑んでみる。
「どう?」
『....あ、うん。』
頷いて応えると、「薄い?濃い?」と聞かれてくる。
『っえ、....薄い、と思う....』
味噌を足すと、それから鏡花は別の作業をした。
邪魔かな、と思いはおずおずとその場から離れた。
自分と同じ年齢くらいなのに、テキパキと調味料をはかり料理をしている鏡花の姿には劣等感を感じた。