第2章 冷たい雨
寮に着くと、1度自分の部屋には帰らず太宰の部屋にそのまま上がった。
「いやあ、濡れたね」
太宰はコートを脱いで掛ける。
てんてん、と雨に濡れて水分を含んだ服から床に落ちる。
太宰は上がらないに声をかける。
「気にしないで上がっていいよ」
小さく手招きして言われて少し戸惑ったが、太宰の部屋に入った。
とりあえず、そこら辺の空いている所に立つ。
コンロのガスをつけて、太宰が言った。
「お風呂入っておいで、風邪ひくから」
太宰の言葉に顔を上げた。
『えっ、でも....』
着替えがないし、と一言付け加えると、太宰が「じゃあ暖房つけるから、服脱いだらいいよ」と、を困惑させた。
だが、は脱ぐことはなかった。
「敦くんとは気まずいかい?」
『....はい』
コクと頷く。
「あんなに仲がいいのに、喧嘩とは珍しいね」
そう聞くが、返事がなかった為それから深くは訊ねなかった。
やかんがピーッ!と音を立てて、太宰は火を止めに言った。
太宰がココアを持ってきた。
『ありがとう、ございます』
受け取って、少し冷ましてから1口飲んだ。
『甘い....』
1口飲んだの感想に太宰は
「美味しいかい?」
またコクと頷くに「そうかい、それは良かった」と微笑んだ。