第2章 冷たい雨
それから何かに太宰は話しかけるが、は頷くだけだった。
少しすると、「太宰ィイイ!!!」と大きな声が聞こえた。
国木田が上の階から来た。
「貴様はまだ仕事が残っているだろう!!社長がお呼びだ!」
クワッという言葉が今の国木田に似合うほど、鬼の面をしている。
「じゃあね、ちゃん」
そう言って太宰は素直に国木田に引っ張られて連れていかれた。
は雨が今弱いうちに駆けて寮に向かった。
ピカッと一瞬明るくなった。
何処からか大きな声音が聞こえる。
雷だと気づくのにそんなに時間は掛からなかった。
また雨が強くなり、近くの公園で雨宿り出来そうなところで雨をしのぐ。
するとまた、太宰に合った。
「夕立って言うのだろうか」
は分からず、首を傾けた。
沈黙が続き、轟く雨音が響く。
『……仕事は終わったんですか?』
「一応ね」
苦笑いしながら答えた。
「私の所に来るかい?今なら温かいココア付きだよ」
は迷った。けれど、これだけ話しかけられて、また断るのは悪いと思っては頷いた。