第2章 冷たい雨
仕事中に何度も敦に「ごめん、僕何かしたかな?」と謝ってくる。
それに対しては『知らない。自分の心に聞いて』の一点張り。
仕事が終わると、敦は一緒に帰ろうと誘うがはそれを断る。
敦と鏡花が探偵社を出ていくと
は残って明日の分の書類を片付ける。
ふと外を見ると、天気が悪くなってきている。
──そろそろ帰ろう
急いで帰る準備をする。
傘も折りたたみ傘も持ってきていない。
急いで寮に着けば、雨に濡れずに済む。
そう思って早足で階段を駆け下りる。
下の階に着くと、ザァーと雨が降ってきた。
『運悪い....』
そのままぽつんと立つ。
立っていると、「急な雨だね」と声が聞こえた。
後ろを振り返ると、声の主は太宰だった。
「まだ喧嘩しているのかい?」
太宰の言葉には何も答えなかった。