第1章 いつも
「太宰が行方不明ぃ?」
ある日、お兄ちゃんが国木田さんに太宰さんが行方不明だと言った。
「電話も繋がりませんし、下宿にも帰ってないようで」
私はお兄ちゃんの後ろに立って話を聞いている。
「また川だろ」
一緒にいた江戸川さんと賢治くんは「また土中では?」「また拘置所でしょ」と言う。
「しかし、先日の件もありますし......まさかマフィアに暗殺されたとか......」
「阿呆か あの男の危機察知能力と生命力は悪夢の域だ。あれだけ自殺未遂を重ねてまだ一度も死んでないやつだぞ」
太宰さん無事だといいな、と思いながら私はお手洗いに行くことにした。