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喧嘩最強女子は生徒会長【歌い手】

第8章 四章


輝「母方の姓って事は、父親は…?」
凪「死んだよ。何年も前に事故でね」
輝「あ、ごめん…」
凪「謝んなくていい。父さんの事もこの話をする上では必ず話さなきゃいけないし」

そう。父親が「一ノ瀬」の出である以上、避けては通れない。

凪「父さんの事は私が話すよ。家族の事だからちゃんと自分で話したい」
彼「わかった。無理はするなよ」
凪「うん。…まだ父さんが生きていた頃、私たち家族は一族から酷い扱いを受けてた。物心ついた時から蔑まれ、毎日「何で生まれてきたんだ」「何故女なんだ」「これで男だったら」何度言われたか分からないけど、毎日誹謗中傷は絶えなかったし、陰口や根も葉もない噂も多かった。でも、父さんが居たからその程度で済んだ。

父さんは当時の一之瀬本家の次男で、次代家長候補の3人のうちの1人だった。もう2人は彼方のお父さんと、三男のおじさん。
普通の家なら長男である彼方のお父さんが継ぐのが当たり前なんだけど、武術に長けてるって家柄のせいで候補者で闘って次代家長を決めるのが昔からの慣わしだった。簡単に言えば生徒会選定会みたいなもんだよ。

兄弟の中で父さんは特別強かった。歴代家長候補でも父さんには及ばないとまで言われてただけあって、家の中では1番優遇されてたし、慕う人も多かった。だけど、父さんが母さんと出会ってからはその生活が少しずつ変わった。

母さんの出身の一条家は、一之瀬家の枝分かれって言われてるけどそんなのは建前で、本当は何の才も無いまま成人した人が名乗る姓なんだ。要は落ちこぼれ。
力が全ての中で、落ちこぼれの家の長女として生まれた母さんと本家の父さんの結婚なんて、当然当時の家長が許すはずがなかった」
蓮「じゃあ何で、凪緒の両親は結婚出来たんだ?」
凪「簡単な話、父さんが家を出るって言ったからだよ。母さんと結婚するために家を捨てて、一から始めるって。
父さんほどの才能があれば、武闘家として活躍出来るし生活には困らないからね。」

我が親ながら何その超絶イケメンエピソード?と感心する。この話を聞かせてくれた母さんの顔は、今思い出しても幸せそのものだった。

凪「それを聞いて本家は大慌て。1番の実力を持つ父さんが居なくなって困るのは本家のお偉い人だけで、兄弟達からすればライバルが減るわけだからむしろウェルカム。好きにしろ、早く出て行けって感じだったみたい」
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