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喧嘩最強女子は生徒会長【歌い手】

第8章 四章


あぁ、やっと言えた。『助けて』なんて『私』なんていつぶりだろう。
自分のことは誰よりもよく分かってるから、弱い所は見せないように、女だからと舐められないように細心の注意を払いながら気丈に振舞ってきた。
だから生徒会長としての信用も、幼馴染達からの信頼も、全てはその創られた自分に宛てるものであり、自分へのものでは無い。
でも不思議と、彼方の前だとそんな建前も全て剥がれて、気付けば弱い自分が出てくる。彼方にだけは本当の『私』を見せられる。
誰も知らない、弱くて脆い本当の『私』。

彼「凪緒から許可が出たし、ちゃんと話すよ。とりあえず座りなよ」

4人が彼方と私の向かいのソファに腰を下ろす。それぞれの顔は緊張しているのか妙に強ばっている。
彼方も私の横に座り直すと「まずどこから話そうか」と呟く。

彼「んー、あ。そもそもの話から始めるんだけど、4人は「一ノ瀬」の姓をどこかで聞いたとある?てか知ってる?」
輝「そらるさんの苗字…?」
成「かっこいい苗字だよね」
蓮「いやそうじゃねぇでしょ。どっかも界隈では有名な血筋とかそういうんじゃない?」
千「そうでしょうね。そらるさんの苗字が関係してるって事はおそらく凪緒さんの「一条」も関係してるんやと思いますけど」

流石折原君と言うべきか、勘の鋭さは突出している。

彼「あらきとセンラさん正解。今から話すことは「一ノ瀬」に深く関わる事。まず「一ノ瀬」がどんな一族かなのかを先に知っておいてほしい。少し長くなるけど、途中で寝るなよ?luz」
輝「何で俺だけ??」
彼「俺たち「一ノ瀬一族」は数百年の歴史がある血筋で、代々何かしらの突出した才を持って産まれてくるんだ。
あ、ファンタジー系によくあるような超能力とかじゃないから、そこは安心してよ。
でもまあ、「一族」って言うだけあって、「一之瀬」以外にもいくつか別の姓を持つ「家」があって、武術や学問、芸術から商売から色々、「家」によって引き継がれる才は異なるけど、その中でも「一ノ瀬」は武術に長けた人間が多く産まれるんだ」

彼方は輝をスルーして、まるで台本が目の前にあるかのようにスラスラと話し始める。

彼「俺と凪緒が強い理由は「一之瀬」の血筋だからって事。でも凪緒の苗字は「一条」。それは何故か。簡単な話、「一条」の姓は凪緒の母方の姓だからだ」
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