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喧嘩最強女子は生徒会長【歌い手】

第6章 三章


天「凪緒、何があったのか説明して」
凪「...」

あれから、現場には観覧部屋の全員が押し寄せた。
誰が犯人なのか一目瞭然の現場、何も言うことが出来なかった。
そんな沈黙を破ったのは折原君。

千「と、とりあえず怪我人を保健室に連れて行きましょう。天宮君は先に行って先生に知らせてきてください」
天「あ、わ、わかった...」
千「luz、こん中で1番デカイのお前やし、担いで保健室に連れてったって」
輝「わかった」
千「坂田、お前は黒木さんに連絡。ジャージでも何でもええで、凪緒さんの着替え持ってきてもろて」
坂「う、うん」
千「さて、凪緒さん?付いて来ていただけますか?」

凪緒の耳にはその声も当然聞こえていたが、何も反応できなかった。ただただ同じ場所をじっと見つめている。

彼「...俺が連れて行く。生徒会室は分かんないから、とりあえずさっきの部屋に戻ろう。その間にみんなも頭の中整理しといて」

ハサミを回収され、彼方に腕を引かれるがままに歩き出す。

そして今に至る。
先に部屋に到着していた棗によって着替えが行われ、そして尋問が始まった。と言っても、凪緒は一言も喋らない。いや、喋れない。

志「凪緒ちゃんは犯人ちゃうんやろ?ならせめて犯人じゃないって一言でいいから言って欲しい」
凪「...」

どれだけ優しい言葉を掛けられても何も反応出来ない。今の凪緒には、どんな反応をしても自分が責められる未来しか見えないのだ。
自分はもちろん何もやっていない。でもそれを言葉にすることが出来ないでいる。
こんな状態が既に30分以上続いている。

彼「...みんな少し休もう。凪緒、俺たちは別室にいるから、落ち着いたら電話して」

右隣に座る彼の提案により、凪緒以外の全員が席から立つ。
彼方も「また後で」と言って席を立とうとする。

凪(いや...いかないで...)

そう思った次の瞬間には、彼方の制服の裾を掴もうと手を伸ばしていた。しかし、その手が届くことは無く、空を切り、虚しく落ちていった。

パタンとドアが閉められる。
誰も居なくなった部屋に自分一人。次第に涙が頬を伝う。

凪(何も言えなくてごめん...意気地無しで、弱虫でごめん...)

声を出すことも無く、ただ静かに泣いていた。
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