第6章 三章
キィィ…
金属特有の音を鳴らしながら屋上の扉を開く。一歩踏み出すと同時に強い風が。
?「あら、早かったわね」
少し離れた所からそんな声が聞こえた。
手摺に凭れ掛かっていた人物がゆったりと振り向く。
凪「やっぱりアンタか…花山部長」
花「相変わらず口の聞き方がなってないわね。ま、1人で来たのは予想通りだし褒めてあげる」
花山部長はこちらに近付きながらそう言う。
この人は入部したときからずっと苦手だ。いつも高圧的で偉そうで、常に自分中心で事が回ってないと気が済まないような人だ。
凪「…あいつらを巻き込むわけにはいかないんで」
花「仲間意識?これから1人になるのにそんなもの必要ないじゃない」
凪「確かに必要ないな。…このままあんたに負けたら、な?」
実はあの手紙には続きがあった。と言っても手紙自体は1枚で、文もあれで終わり。
ならどこに続きがあったのか。答えは写真だ。写真がシールになっており、剥がすと
―すぐに屋上に来い。どちらが生徒会長の座にふさわしいかハッキリさせてやる―
と書かれていたのだ。しかも、今度は直筆で。
花「勝てる気でいるの?新学年に上がってから、ほとんど部活に来てなかったアンタが?おまけにこの前なんか、あの2人に護ってもらってたし、体、鈍ってんじゃないの?私はアンタに勝つために毎日必死で練習して勉強も欠かさずやって来た。鈍った今の貴女に勝つのなんて5分もかからないわ」
ベラベラとよく回る口だ。丁寧に塗られたリップは本当は潤滑剤なのでは?
はぁ…と思わずため息がこぼれる。
凪「だったらさっさと始めよう。こっちは客を待たせてんだ」
花「生意気言ってんじゃないわよ!!」
部長の荒げ声と共に右手で胸ぐらを捕まれ、勢いよく引かれる。
部長の得意な背負い投げの体制に持ち込まれそうになるが、寸でのところで腕を払う。
花「…やっぱり鈍ってるわね。前の貴女は私に胸ぐらを掴ませることすらさせなかったのに」
凪「…」
鈍っているのは自分でも自覚している。先日の部活でも、何度か技を決められそうな場面があった。
再び部長の手が伸びてくる。払っても払っても伸びてくる手が鬱陶しい。
凪(さて、どうしたもんか…)
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キャラ紹介
花山美琴(18)
・柔道部部長
・凪緒へ異常な嫉妬心を抱いている
・生徒会(凪緒以外)とは結構仲良し
