第6章 三章
この件は棗にも伝えた。
当然最初は反発されたが、手紙の差出人が校内の人間、しかも生徒である以上は俺に関わると周りに被害が出てしまう。
他の兄弟校よりも治安が良いとは言えど、喧嘩が日常的に行われている学校なのだ。生徒だって、個人差はあっても殆どが経験者。中には生徒会に勝るとも劣らない実力者だっている。
その事を伝えれば、渋々ではあったが納得して貰えた。
そして、翔太と一緒に雪華を護って欲しいと伝えれば笑顔で承諾してくれた。
凪(どうにかして被害を最小限に抑え、犯人を特定しないと...)
天「凪緒...大丈夫?」
凪「ん?何が?」
天「眉間にシワよってるから...あの手紙のことやっぱ不安だよね」
凪「まぁな。心当たりは全くないし、イタズラにしてはタチが悪い。誰も傷つかないまま終息するにはどうしたらいいんだろうって、ずっと考えてはいるけど中々な...」
96「...凪緒」
凪「先に特別室に戻っててくれ。俺はもう少しここで考えてみる」
天「わかった。なるべく早く戻ってきてね」
無理しないでね!と言いながら2人は部屋を出て行った。
この優しい優しい幼馴染達は、望めばなんだって叶えようとしてくれる。いつでも信じて、一緒に隣に立ってくれる。時には背中を預けてくれる。
他の誰よりも長く濃い時間を一緒に過ごした彼らだから、自分も同じかそれ以上の優しさと思いを返したい。
凪「でもごめん。翔太、棗。俺は...
お前達を巻き込む事は出来ない」
パタンと扉が閉じられ、誰もいなくなった生徒会室。
凪緒の机には、さっきの手紙と写真が置かれたままだった。