第1章 【R18】仮初め《昌平君×李牧》
李牧の様子が少し落ち着いてくると、
「続きを始めていいか?
おかしくなっても構わない。恥ずかしがらずに、感じるまま、ありのままのお前の姿を、俺だけに見せてほしい。」
囁くように、低い声で昌平君は言った。
李牧は、昌平君に預けていた上半身をゆっくりと起こす。
「こんなに激しい夜は、初めてです。
身体は緊張しているのに、なぜか気持ちはとても興奮しています。
声に出すのは恥ずかしいので、本当はあまり言いたくありませんが、あなたとのセックスにドキドキしているのです。
そして情けないことに、私は自分の身体がどこまでついていけるか自信がありません。
でも、私ばかりが与えてもらうのはフェアではありません。あなたはまだ満足していませんね。
私はただ、あなたのテクニックを信じて、この身を任せるのみです。」
真っ直ぐな瞳で、李牧は言った。
昌平君を見つめるその眼差しは、先程まで昇天していたとは思えないほど、力強くしっかりとしていた。
「私は今、あなた自身の化身です。
この身体を使って、あなたの欲望と快楽を、私にも分け与えてください。」
包み込むように柔らかい表情で言い終えると、李牧は、昌平君の唇に自身の唇を重ね合わせる。
昌平君は、完全に李牧の魔力に堕ちた。
それから先は、あまり時間はかからなかった。
文字通り、李牧と昌平君はひとつになった。
苦痛も快楽も、ココロさえも共有し、互いに慰め合った。
我を忘れて、ただひたすらディープな夜に呑まれていく。
これまでに、勃ったままの状態で何度もイかされていた李牧。
繰り返し襲う痛みと快楽に、体は悲鳴をあげ、途中からは半ば意識を手放した。
朦朧とする中、偶然か必然か、最後は昌平君が絶頂を迎えるタイミングに合わせるようにして、射精した。
筋肉は引きつり、結合部には摩擦を繰り返したことによる裂傷もできていたが、神経は麻痺して痛みを遮断している。
あまりにも無防備な姿で、李牧は深い眠りに就いていた。
事を終え、昌平君もまた、半ば放心状態だった。
ジメジメとした不快な室温と、肉体から発せられる生々しい臭いが、欲望に蝕まれた精神を、現実へ引き戻していくようだ。
長い夜が終わりを告げるように、空が白み始め、さすがに疲労を感じた昌平君は、李牧の横に倒れこんだ。