第1章 【R18】仮初め《昌平君×李牧》
次第に李牧の身体が馴染んでくると、昌平君は、1本、また1本と、徐々に指の本数を増やしていった。
体内に挿入した3本の指を右往左往に動かしてみると、
「……ん…ふぁっ…あ、……あぁ…」
李牧から、いやらしい声が漏れた。
「正直な身体だな。俺の指を3本も飲みこんでいるぞ。」
男性を相手にするのは初めてのことだが、博学な昌平君に知識はあった。
持ち前の器用さも手伝って、李牧が最も感じる部分を見つけ出し、刺激する。
「……あ…あぁ…、あーーーー……」
前立腺の裏側を撫でると、より一層喘ぐ李牧。
四つん這いの体勢で自分の体重を支えている両膝が、情けなくプルプルと震えている。
昌平君はこの男が善がっている姿を見たくて、仰向けに体勢を変えさせると、李牧は向き合ってすぐに絶頂を迎えた。
「……っはぁ…、…ん…ふぁ…っ…!!」
言葉にならない声をあげ、小刻みに震える李牧。
数多のしがらみから解放され、快楽に包まれる刹那的な瞬間。
生物としての本能に召され、無我の境地に上り詰めることなど、立場を背負う2人には、日常では許されることのない幻だ。
勝ち気で殊勝な、魔性の瞳は、今は無防備な微睡みの中にある。
紅潮した頬がどこか扇情的で、麗しい。
乳香の作用のせいだろうか。
これまでに感じたことのない安堵と満足感と高揚感が、昌平君を襲う。
…と同時に、この男は、こんな乱れ悶える姿を、他の誰かにも晒すのだろうか…と、矛盾した複雑な感情が脳裏をよぎったが、すぐに搔き消した。
何度、抱いても飽きたらない。
今宵のエクスタシーは、もう二度と手にすることはない。
昌平君は、イッたばかりの李牧を容赦なく連続して攻めていった。
痛みと快楽と絶頂が、繰り返し李牧を襲う。
「…私の、…身体が…持ち…ません…。…もう…おか…しくなって、しまい…そう…です…」
吐息の合間に、李牧は涙目で許しを乞う。
「大丈夫だ。強引に進める気はない。少し落ち着け。」
昌平君は、高ぶる気持ちを抑えて、李牧のために休息を入れた。
向かい合ったまま上半身を起こさせ、息が上がっている李牧の背中を、大きな手で優しく摩る。
李牧は、肩で大きく息をしながら、幼い子どもが親に甘えるように、目の前の昌平君にしがみついた。