第8章 死に物狂いの鬼ごっこ
お館様の言葉に、心の声が一致する一般隊士達。
要するに…
全体の統率や力が衰えてきていて、上の階級に属する隊士がそんなんじゃダメだよね。
だから柱たちと本気の鬼ごっこをして鍛えようじゃないか!
という事らしい。
それで5名の柱が協力することになったという訳だった。
「うむ!お館様のご意向とあらば、全力で行う!」
「派手に花火を上げてやるぜ!」
「いい機会だ、ぶちのめしてやらァ。」
「面白い事になりそうですね。」
「…早く終わらせてよね。」
「「「「「(生き延びれる自信がないっ!!)」」」」」
「スタートは明日の正午。それまでは任務を入れないから各自準備しておくように。」
「捕まった子たちには、そのまま任務に行ってもらうから、そのつもりでね。」
1番の鬼はお館様かもしれない。
誰もがそう思った。
解散の合図で方々に散った隊士達。
残ったのは…柱たちと杏寿郎の継子である雪だけだった。
『師範!一体、これは……』
「お館様のお話の通りだ。最近の隊士達は鈍ってきているからな。」
「まぁ、雪の実力がありゃあ大丈夫だろォ。」
『そんな、不死川様は買い被りすぎです。』
「いいや、不死川の言う通りだな。まともな奴は…」
「数名程度しかいないでしょう。」
「雪は僕が捕まえるからね。」
『えぇ?!…勝てる気がしません…』
「はっはっは!雪は人気者だな!」
杏寿郎の継子として同伴する事が多かったためか、他の柱とも面識のある雪は柱達に囲まれ、明日の鬼ごっこに期待を寄せられる。
師範の顔に泥を塗るわけにはいかない!と思いながらも、本気で捕まえにかかる柱に勝機はあるのかと不安になる。
ぽんっー
「雪なら大丈夫だ!普段の稽古を思い出して集中すれば、切り抜けられる!」
『師範…頑張ります!』
「何だぁ?あの青春どもは。」
「…他所でやれやァ。」
「その青春をぶっ壊しましょう。」
「……雪は僕が捕まえる。」
明日の鬼ごっこは、産屋敷邸から離れたところにある、産屋敷家が持つ山で行われる。
果たして、どのような結果になるのだろうか…