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鬼滅の刃☆短編☆

第9章 私と鬼と貴方


「上弦の…弍…」
『私を鬼にした奴の階級です。同じものを入れるようにと…』
「あの日、何があった?!教えてくれ!」


杏寿郎の言葉に、雪は話し出した。


あの日の任務は滞りなく終わったこと、
その後に突如として上弦の鬼が現れたこと、
自分以外の隊士達は瞬殺されたこと、
自分だけは生かされ鬼の血を飲まされたこと、


『そして、目が覚めた時には鬼になっていました。』


悲しく微笑む雪に、杏寿郎の心臓が悲鳴をあげる。


「俺と一緒に来い!」
『…"師範"の言葉であっても、それは出来ません、』
「最近!妹が君と同じように鬼にされたという男児が入隊した!君も何か手がかりが掴めるやもしれん!」
『!…そうですか。』
「雪!」


杏寿郎は投げかけるも、雪は黙って首を横に振る。


『貴方ともっと一緒に居たかった。』
「!」
『貴方に稽古をつけて頂きたかった。もっと笑い合いたかった…お側に、居たかった…』
「っ、稽古ならいくらでもつけてやる!笑ってやる!側にいてやる!だから!!」
『無理なんです。』


雪の目から一筋の涙が溢れる。


「何故だ!」
『私はこの山に縛られているんです。人の血肉を必要としない代わりに、この山でしか生きられない。』
「…そんな、」


鬼の力により、雪はこの山の生気を取り込む事でしか生きられないようになってしまっていた。


『どうか、戻ってお館様や柱の皆様にお伝えください。今まで…ありがとうございました…と。』
「…雪…」
『幸いにも鎹烏もいますので、鬼の目を盗んで情報だけは流せます。』
「俺は!そんな事を望んではいない!戻ってくるんだ!方法は必ずある!」
『お別れです。師範……お世話になりました。』
「待て!雪!!!」


杏寿郎の言葉も虚しく、雪は森の闇に溶け込んでいった。

必ず救う手立てはあるはず。





杏寿郎は雪がいる山を背に、産屋敷邸へ戻るために踵を返す。
その目には一筋の光が反射していた。






Fin
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