第7章 破壊力抜群
その後、騒動はひと段落し屋敷にも活気が戻った。
杏寿郎と雪は部屋に戻り、まだ恐怖心が残る雪を優しく抱きしめながら眠りについた。
次の日ーーー
「おはよう。」
『お、はようございます。』
雪が目覚めると、杏寿郎はすでに起きていた。
寝顔を見られていたのか…と思うと恥ずかしくなったが、師範である杏寿郎を待たせてはいけないと、身支度を始める。
「雪、こっちにおいで。」
『?!…その言い方は、ずるいです…』
「その怒った顔も愛いな。」
『?!!…師範には敵いません…』
雪が杏寿郎の横に座ると、ぐっと肩を抱き寄せられる。
「君とこうして朝を共に迎えるのも良いものだな。」
『そうですね。人生で1番気持ちが良いです。』
「それは良かった!…ずっと、俺の隣にいてくれるか?」
『…師範、それって…』
「少し順番がズレてしまったが…」
杏寿郎は体を離すと、正座になり正面から向かい合う。その姿に、雪も姿勢を正し、杏寿郎の方に向き直る。
「雪、俺と付き合って欲しい。死が2人を別つまで、共に過ごしてくれないか?」
『っ!…』
「ダメ、だろうか?」
シュンと眉毛を下げながら微笑む杏寿郎に、雪はたまらず抱きつく。
勢いに押され、2人は後ろに倒れ込む。
『ダメじゃありませんっ!!私の方こそ、ずっとずっと、隣に居させてください!』
「うむ!その言葉を聞きたかった!」
そのまま2人は抱き合っていた。
この幸せが長く続きますように。
当たり前のことが当たり前に出来る日々が続きますように。
2人の祝言は……そう遠くはないのかもしれない。