第7章 破壊力抜群
『っは、師範…』
「君は、無限列車の時といい…これ以上、心配させてくれるな。」
『ごめ、なさい。少しでも、師範の役に立ちたくて…』
「………」
乱れた着物、潤んだ瞳、上がった息づかい…
そんな状態で言われ、杏寿郎もビシッと固まってしまう。
『師範…?』
「あの男にどこを触られた?」
『…ぇ、』
「どこを触られたかと、聞いている。」
『っつ、、』
杏寿郎の有無を言わさない雰囲気に、雪は息を飲む。
『あの、足を…触られました。』
「それから?」
『っぁ…し、師範?!』
「他はないか?」
答えた場所に触れる杏寿郎。
雪は驚きながらも、逆らえないまま答えていく。
『その後は、その……』
「どこか言いなさい。」
『胸を、触られ…ました、?!』
足に触れていた手が、着物の間から侵入する。
当然、先程のような不快感は全くなかった。
「ここか?」
『んぁ、…や、師範…っは、』
杏寿郎が触るところ全てが熱を持ち、雪はついていくのに必死だった。
『ふぁ…んっ、しはん…っぁ、』
「っ!」
『師範…』
胸元から手を抜くと、杏寿郎は雪を抱きしめる。
雪はおずおずと背中に手を回すと、一層杏寿郎の腕に力が入る。
まるで離すまいとしているかのようにー
『師範。私はここにいます。』
「…。」
『どこにも行きません。』
「あぁ。」
『ずっと、貴方の隣にいます。』
「俺の方こそ…」
ふっ、と杏寿郎の顔が上がり、2人の目線が交差する。
「俺の方こそ、君と共に1日1日を大切に生きたい。嫌だと言っても離さずに、ずっと俺の腕に閉じ込めておきたいと思ってしまう。」
『…っ、』
「あの男に君が組み敷かれている姿を見た時、怒りでどうにかなりそうだった。」
『…私、も…師範が来てくださって、嬉しかったです…』
「もっと早くに駆けつけていれば…」
『師範が来てくださっただけで十分です!さっきも…その、』
「何だ?」
『触ってもらえて…嫌じゃ、なかった…です、』
「?!…よもや、君は俺を煽っているのか?」
雪の天然とも取れる言葉に、杏寿郎は思わず動揺してしまう。赤くなった顔を見られまいと、顔をそらし手で口元を隠す。
「とりあえず、着物を直しなさい。」
『は、はいっ!』