第7章 破壊力抜群
「はぁ…綺麗な肌だ。ここはどうなってるのかな、」
『やぁ…っ、』
帯が解かれ、緩んだ胸元に手が侵入する。
一気に不快感が身体中を巡り、雪の顔は青ざめる。
『(師範、師範っ、)』
頭に思い浮かべるは、任務に出ていった杏寿郎の顔だった。なぜ無理をしてでも付いていかなかったのか後悔し始めた時、襖が勢いよく開かれた。
ダンッ!ーーーー
大きな音ともに、よく知る声が耳に入ってきた。
「よもや、俺の継子に手を出すとはな。」
『…し、はん…』
「ひっ?!な、何なんだお前はっ、」
雪が声のする方を見ると、さっきまで自分の上に乗ったいた男が杏寿郎によって床に押さえ込まれており、後ろから首を絞められていた。
「お前に関係ないだろう。」
「っが、ぁ……」
杏寿郎に目一杯締め上げられてる男は、上手く話すことが出来ない。そのうち、慌ただしく女将が駆けつける。
「鬼狩り様!いったい何が…あんた!?」
「女将、知り合いか?」
「え、えぇ。」
「なら丁度良い。2度と俺と彼女の前に顔を出さぬようにしてくれ。2度とだ。」
「し、承知しました。ほれ、お前たち!あいつを連れて行きな!」
その場にいた誰もが、杏寿郎の気迫に押される。
ふと我に返った女将が、男を連れて部屋を出ていった。杏寿郎は襖が閉まると同時に雪を抱き寄せる。
「…無事で良かった。」
『…師範っ、すみま、せん。』
「謝らなくて良い。もう大丈夫だ。」
杏寿郎の声に、雪の目から涙が溢れる。恐怖が安心に変わった途端、先を切ったかのように泣く。そんな雪を、杏寿郎は何も言わずにずっと抱きしめていた。
「君を1人にしてしまった。不甲斐ない…」
『師範が謝らないで下さい。私が至らなかっただけで、っ…』
「……」
杏寿郎は自分の指で雪の涙を拭う。
2人の目線が合わさった時、杏寿郎は雪の両頬に手を添え口づけをする。
『んっ…』
「っ、…」
徐々に息苦しくなるも、杏寿郎は離れる事はなかった。角度をかえ、啄むように口づけをする。
『っは…しは、んっぅ…』
「少し黙りなさい」
『ふぁ…んぅっ、…ん』
どのくらい続けただろうか。
杏寿郎が口を離す頃には、雪は体に力が入らなくなっていた。