第7章 破壊力抜群
『だぁぁぁぁ!!!!ないない!!ない!師範に限ってそれはない!!』
首がもげるのでは?というくらいに振り、邪念を飛ばす。
言われるがまま休んでるわけにはいかない…と、せめて自分が出来ることをしようと部屋を出る。
『とりあえず、私も情報を集めなきゃ!』
藤の家といえども、中心部に位置する屋敷はかなり広く、あらかた聞き込みが終わる頃には夕方になっていた。
『よし!後は師範が戻ってきたら報告しなきゃ。…?』
周りがやけに賑やかだと感じた雪が周りを見渡すと、すでに客引きが始まっており花魁や男性客が入り乱れていた。
『(ヤバっ…早く部屋に戻らなきゃ!)』
仕事の邪魔になると考えた雪は、駆け足で部屋へと戻ろうとする。そして、角を曲がればたどり着くという所で…
ーガシッ!
『え?…』
「君もここの人間かい?…手が空いてるなら相手をしておくれよ。」
『…いや、あの…違います。』
振り向くと、酒の入った男性客が雪の腕を掴んでいた。まさか、自分が間違われると思っていなかった雪は冷や汗をかく。
「?あぁ、まだ新造ってところかい?なら、お兄さんに任せない。立派な花魁にしてあげよう。」
『いやいや、違いますって!』
「違わないだろう。入れっ!」
『…ぅわっ…』
鬼殺隊といっても男性には力負けをしてしまい、雪は部屋へと押し込まれてしまう。
倒れた拍子に着物の裾が乱れてしまい、それが余計に男を興奮させた。
「よく見れば顔も可愛いじゃないか。女将には悪いが、後で説明すれば大丈夫だろう。」
『ぃやっ!』
何が大丈夫なんだ!と思いながら必死に抵抗する。
しかし、日輪刀も何も持っていない雪は非力でしかなく、男の力には敵わない。
『(…何て力なの…!)』
「怖いことは何もないさ。ただ、気持ちいいだけだよ。」
『ひっ…!?』
男の手が着物の隙間から入り込んでくる。
男は雪の両手を片手でまとめ上げ、空いた手で手際良く帯を解いていく。
『(っやだやだやだ!)…やめっ、』
「抵抗しても無駄さ。」
『っぁ、』
まだ誰も触れたことのない柔肌の上を、男の手が這う。
雪はどうすることもできずに、ただただ耐えるしかなかった。