第7章 破壊力抜群
「今回の任務は雪も一緒だ。」
『私もですか?』
「あぁ、だがな…」
そこで渋る杏寿郎。
雪は首を傾げるが、その理由はすぐに分かった。
現地ー
『師範…ここって……』
「そうだ。花街だ。」
『今回の任務って…まさか…』
「ここで情報を集めることだ。」
潜入捜査ではない事にホッとする雪。
そのまま杏寿郎についていくと、とある屋敷の前で立ち止まる。
「着いたぞ!ここだな!」
『…ぇ?、師範…ここは、』
「藤の家だ!」
『えぇ?!』
どうみても、これはあれだろう…な屋敷だが、よく見ると藤の家紋が刻まれている。
何の躊躇もなく入っていく杏寿郎の後を慌てて追いかける。
「鬼狩り様、ようこそおいで下さいました。」
「うむ!しばらく世話になる!」
『よ、よろしくお願いします。』
「あらあら、今回は可愛らしいお嬢様もご一緒で。」
「…部屋にはやらんぞ。」
「分かっております。ささ、こちらへどうぞ。」
屋敷の女将に案内され、一番奥の部屋に通される。
そこの部屋だけは他と違って、今までにも利用した事のある藤の家と同じ雰囲気だった。
「ひとまずここで情報を集めるぞ!」
『はい!』
「隊服を着ていては目立つからな、一旦着替える!雪は奥の部屋を使うと良い!」
『ありがとうございます。では…』
杏寿郎と雪は着物に着替えると、花街へ繰り出した。
『(…いや、心臓が保たん!!!!)』
「……」
雪は隣を歩く杏寿郎をチラッと見上げる。
普段の見慣れた隊服ではなく、見事なまでに着物を着こなし、眼帯・赤茶の羽織り・杏寿郎の髪色…全てが相まって周りが羨む美青年になっていた。
雪は頬が熱くなるのを感じる。
が、同時に周りの視線もひしひしと感じていた。
『(うぅ…みんなの視線が痛い…)』
花街にいる花魁たちは、我こそがと杏寿郎に向かって声をかけるが、任務一筋の杏寿郎には届いておらず、それが隣を歩く雪がいるせいと勘違いされてしまっていた。
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「今日はここまでにするとしよう!」
『はい、師範。』
「有益な情報はなかったな!出直しだ!」
『そうですね、明日も頑張りますっ!』
特に鬼に関する情報もなく、2人は藤の家に戻って行った。