第1章 実弥との出会い
バンッ!!!!!
「柱合会議中に失礼致します!!」
「何事だい?」
「風柱様の継子である雪様の鎹鴉より、十二鬼月に匹敵する鬼と遭遇したとの伝令が入りました!」
「んだとっ?!」
会議で集まっていた柱たちに緊張が走り、実弥は思わず立ち上がる。
「また…雪様はー」
「?!」
「実弥、すぐに行きなさい。」
「お館様、ありがとうございます。」
隠の次の言葉を聞いた実弥は、一目散に飛び出していった。
ー雪様は鬼との戦闘中に大怪我を!ー
「おい、鴉!!案内しろォ!!!」
産屋敷邸を出た実弥が叫ぶと、雪の鴉が現れ実弥を誘導する。
.
.
.
『…っは!!…気を、失っ…て、』
鬼が去った少ししてから、雪の意識がふっと戻る。一時的に気を失っていたが、呼吸は続けていたため出血も抑えられている。だが、鉛のように重くなった体は簡単に動かすことが出来なかった。
鬼殺隊としての運命もここまでか…と思った時、知った気配を感じた。
『(この気配…師匠!?)』
最後の力を振り絞り、木を支えに体を起こす。と同時に、目の前に実弥が現れる。
「雪!!」
『…し、しょ……申しわけ…』
「黙れ!それ以上喋んじゃねェ!!」
珍しく慌てた様子の実弥に、雪は目を見開く。実弥は慣れた手つきで患部の治療を施していく。
「貫通はしてねェな。呼吸で止血も出来てる…よく、持ち堪えたな。」
『師匠……わた、し……がはっ!』
「胡蝶の所へ行くぞ。」
止血は出来ていても体には穴が開いている…一刻の猶予も許されない状態だった。実弥は雪を横抱きにしてその場を後にする。
.
.
.
「胡蝶!!!」
「準備は出来ています!雪さんをこちらへ。不死川さんは外で待ってて下さい。」
蝶屋敷ではしのぶが受け入れ準備をしていた。ベッドにうつ伏せで寝かせると、アオイ達が隊服を切っていく。
治療が始まったのを確認すると、実弥は部屋の外へと静かに出ていった。
「クソっ!……」
壁を殴ろうとするも、握られた拳が壁に当たることは無かった。行き場をなくした手は、そのまま重力に乗って下へと力なく落ちる。
「情けねェ…」
.
.
.