• テキストサイズ

鬼滅の刃☆短編☆

第5章 あなたの色に染まる心


『…?…これだけ凄く古い文献のようですが…』
「どれだ?…?!」
『……おにごろしたい?』
「なぜそうなる……きさつたい、と読むんだ。」
『あはは…漢字は苦手でして…』
「だとしても酷すぎるな、君は。」


そこでハッと気づく。
杏寿郎との距離が近いことに。

年上の異性と関わる事のなかった雪は、息を吸うのも躊躇ってしまうくらい緊張していた。
一方の杏寿郎も、先程までの声の大きさが無くなり真剣な表情で文献を眺めていた。


『(…カッコいい)』


自然と雪の中に今まで無かった感情が芽生える。それはまだ、本人も気付いていない程小さなものだった。


「白羽は…鬼を知っているか?」
『鬼ですか?小さい頃に桃太郎なら読みましたが…』
「いや…実在したんだ。鬼は。」
『えぇ?!』


突然の言葉に驚き、雪は杏寿郎の側から離れた。すると、杏寿郎は真っ直ぐに雪を見ながら言葉を続ける。


「遥か昔、日本には人を喰らう鬼がいた時代があったんだ。その鬼たちを退治する組織が"鬼殺隊"だ。」
『で、でも…今まではそんな歴史……』
「政府非公認の組織だったからな。文献はほとんど残っていない。生き残った隊士達が子孫に語り継いでいったが、それも今では断ち切れてしまっている。」
『どうして、煉獄先生がそのことを……』
「何、俺も鬼殺隊に興味があってな!色々と探していたんだ!」


急に元に戻った杏寿郎を見て、雪は引っかかりながらも深くは考えなかった。


「うむ!今日はここまでとしよう!助かった!」
『いえ、私の方も途中から楽しかったので!』
「これで俺の授業も好きになってもらえたら良いのだが!」
『ぅ…善処します…』


雪が資料室から出るのを見届けていた杏寿郎は、自分の耳を疑った。


『先生。もし良ければ、先生がお手隙の時に"鬼殺隊"について教えてもらえませんか?』
「!…なぜ、」
『不謹慎かもしれないんですけど、何か魅力を感じてしまって…』
「!!」
/ 69ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp