第4章 私を受け止めてくれた太陽
屋敷に戻り、居間に入ると雪は下された。
「雪、すまなかった。俺がもう少し早く気付いていれば。」
『杏寿郎様のせいではありません!自分が…不甲斐ないだけです…』
「君が鬼殺隊として活動できなくなったのは…2年前の戦いでか?」
『!…ご存知、だったんですね。』
「すまない。君の言葉を待つと言ったのに、少し調べさせて貰った。」
『見ず知らずの人間を側に置くのですから、それは当然のことです。』
眉を下げて笑う雪に、杏寿郎は胸の奥が痛むのを感じた。
何故だか、彼女にそんな顔をさせたくないと思ったのだ。
『杏寿郎様も…幻滅したでしょうか?』
「何をだ?」
『鬼殺隊として役に立たなくなった人間を…です。』
「そんな事あるわけない!」
『恥ずかしいのですが、杏寿郎様に見て頂きたいものがございます。』
「…!?、雪、何を?!!」
雪はそう言うと、杏寿郎の言葉を待たずに隠の服を脱ぎ出す。
杏寿郎は慌てて目を逸らすものの、急な事に動揺してしまう。
『杏寿郎様、こちらを見て頂けますか?』
「無理だ!」
『私が、鬼殺隊として活動出来なくなった理由なんです。』
「……失礼する!…雪、その傷は…」
杏寿郎が目を向けると、上着を脱ぎ、胸元にサラシを巻いただけの状態で雪が立っていた。その体に、大きな傷が左肩から右腕にかけて入っているのが分かる。
『この怪我が原因で、私は鬼殺隊ではなくなりました。2年前の戦いで、襲われた人を庇った時につけられた物です。左肩から脇腹までは何とか完治しましたが、右腕の傷が深くて刀が握れなくなってしまったんです。』
「……」
『出来る事なら…まだ、鬼殺隊としてお役に、立ちたかった……みんなと、一緒に闘いたかった!お館様のお役に…立ちたかったんです…』
大粒の涙を流しながら話す雪を見て、杏寿郎は自然と雪を抱きしめていた。
「雪の気持ちは十分に伝わった。辛い話をさせて悪かった。」
『杏寿郎、様…』
「どうした?」
『こんな私でも、まだ、お側に…置いて頂けますか?』
「あぁ、もちろんだ!」
『っう、あ、ありがとうございます〜〜!』
杏寿郎の言葉にますます涙が止まらなくなった雪は、そのまま杏寿郎の胸で泣いた。