第4章 私を受け止めてくれた太陽
どのくらいの時間が経っただろうか。
いよいよ、目のやり場に困った杏寿郎が声をかける。
「…雪。そろそろ服を着てくれないか?」
『あ!す、すみません。そうですよね、見苦しいものをお見せしてしまって…』
何を勘違いしたのか、悲しそうな顔をして離れていく雪を杏寿郎は引き止める。
「いや、それは違うぞ!雪の体は綺麗だ!」
『え?!…あ、ありがとうございます…』
「いや、決して変な意味では…」
『ふふ、杏寿郎様に言って頂けるなら、とても嬉しいです。』
ほんのり顔を赤らめて笑う雪に、杏寿郎の何かが切れた。
「……君は無防備すぎる。」
『杏寿郎さ…んっ…んん、ぅ…』
握っていた手を引き寄せ、後頭部に空いた手を添えて角度を変えては何度も口づけをする。唇が離れた2人はお互いを見つめ合い、微笑む。
「しかし、いくら証明するためとは言え、男の前で簡単に服を脱ぐのは感心しない。」
『…杏寿郎様には、ちゃんと知って欲しかったので…』
「無自覚か!困ったものだな!」
その後、2人は今回の件の報告と今後の事についてお館様の所へ出向いた。
「雪、見つかったんだね。」
『はい。これも全てお館様のご配慮のお陰です。ありがとうございます。』
「お館様!誠にありがとうございます!」
「私は何もしていないよ。少し背中を明日だけだからね。杏寿郎、雪、これからも頼むよ。」
「『御意!』」
鬼殺隊本部からの帰り道、杏寿郎は雪の手を引いて止める。
『杏寿郎様?』
「きちんと伝えていなかったな!雪、好きだ!これからも俺の隣を一緒に歩んでくれないか?」
『…はい、もちろんです!私も大好きです、杏寿郎様!』
「わっしょい!」
鬼殺隊としての道を絶たれた少女が、太陽のように輝く青年と出会い、新たな道を共に歩んでいく。
その先に何が待ち構えていようとも、2人が離れる事は決してなかったというーー
Fin.