第4章 私を受け止めてくれた太陽
"どういうことだ?"
"噂になってんだよ。炎柱に取り入ったって隠がいるってな。"
"取り入るなんて馬鹿な話だ!"
"良く思ってない奴がいるってことだろう。気を付けろよ。"
"と言っても、俺は事情を知らんからな!気をつけようがない!"
"おまっ、知らねぇで受け入れてんのかよ!"
"うむ!"
"その隠、前は俺たちと同じ鬼殺隊だったって話だぜ?"
"何?"
"書庫に行くんなら、一番奥の部屋に行ってみろ。俺が言えるのはここまでだ。"
天元の言葉に驚いた杏寿郎だったが、本邸に行ってみると本当だったと思い知らされる。柱にも聞こえるように、そこかしこで囁かれる妬みや恨みの言葉。雪がどういう心境でいるかなど、顔色を窺わずとも手に取るように分かってしまう。
そして、本人には待つと言ったものの、どうにも気になった杏寿郎は自分で調べる事にした。そこに書かれていたのは、2年前に鬼との戦いで重傷を負い、剣士としての道を絶たれてしまったと書かれていた。
「(ものすごい罪悪感でいっぱいだ!…だが、何か出来ることはないだろうか…)」
そう考える杏寿郎だったが、風呂から上がった後も考えてみるものの、良い案がすぐに思い付くわけもなく、一度お館様に相談しようと思うのだった。
しかし、そんな矢先に事件は起きてしまう。
ある日、杏寿郎と一緒の任務に当たることになった。
と言っても、事後処理の人員が足りないため、本来の隠としての仕事で…だった。それでも、実際の任務に当たることになった雪は、先日のこともあってか気が重かった。
『(杏寿郎様のお手を煩わす事だけは避けよう!)』
そう意気込んで任務にあたったが、思いの外さくさくと進んでいく。後は、戦闘で荒れてしまった周辺の掃除を残すだけ…という所で突如、鬼が出現した。
「うそだろっ?!」
「何でこのタイミングなんだよ!」
「ぐぁっ!…」
杏寿郎含め、鬼殺隊員は現場から去っていたため対応できる者はいなかった。
「白羽!あなた元鬼殺隊でしょ?!何とかしなさいよっ!」
『そんな!日輪刀もないのに無理です!』
「忍び刀とか持ってないの?!」
『……っくそ!』