第4章 私を受け止めてくれた太陽
鬼殺隊本部ー
雪は、杏寿郎と共に鬼殺隊本部に訪れていた。
と言っても、お館様と謁見する邸宅ではなく離れにある書庫室の方だった。しかし、離れにあると言っても、本部は鬼の情報を集約する場所でもあるため、事後処理を終えた隠達が必然と集まる場所でもあった。
ともなれば、聞こえてくるのは雪に対する偏見や陰口だ。
"あの子でしょ?取り入ったっていうのは"
"さっさと辞めたら良かったのにね"
"恥ずかしくないのかしら"
「……」
『(あぁ、これ絶対に杏寿郎様にも聞こえてるよなぁ…)』
雪の耳に届いてるくらいなので、杏寿郎にも聞こえてるはず。しかし、杏寿郎本人は気を遣ってか何も言わずにいる。
「着いたぞ!」
『…ここですね。初めて来ました。』
そんな事を考えていたら、目的地に到着した。
目の前には大きな蔵のような建物が建っていた。中に入ると、所狭しと本が並べられている。
『これは、全部鬼に関する資料ですか?』
「そうだ!今まで倒した鬼の情報や鬼舞辻の情報がある!」
『なるほど…私は何をしたら良いでしょうか?』
「うむ!少しばかり気になる鬼の情報があってな。類似している鬼が過去にいなかったか探すのを手伝って欲しい!」
『この中からですと、確かに人手が要りますね。かしこまりました!』
膨大な資料を2人で手分けして探す。
杏寿郎から鬼の情報は聞いていたため、雪は夢中になって資料に目を通す。そんな姿を杏寿郎は離れた所から確認しつつ、暖簾で区切られた奥まった所へ入っていく。
「(雪、すまない!…)」
その後、探していた鬼に繋がる情報を見つけた2人は、簡単に紙に書き写して産屋敷邸を後にした。
「雪に来てもらって助かった!」
『お役に立てて良かったです。帰ったら夕餉の支度をしますので、杏寿郎様は先にお風呂をどうぞ。』
「そうさせてもらう!」
帰宅後、雪が用意をしてくれた着替えを持って、杏寿郎は風呂に入る。そして、同じ柱である天元の言葉を思い出していた。
"よう、炎柱。"
"よもや!音柱じゃないか!本邸に用事か?"
"ちょっと報告する事があってな。ところで、"
"なんだ?"
"使えない隠を受け入れてるってのは本当か?"