第4章 私を受け止めてくれた太陽
「心配無用だ!余るくらいあるからな!」
『…で、ですが…』
「君は俺の身の回りの事をしてくれるのだろう?ならば、きちんと体を休める部屋も必要だ。」
『ありがとうございます。』
「俺は一旦失礼する!何かあったら呼ぶと良い!」
『かしこまりました。』
部屋に残された雪は、その場に座り込む。
周りを見渡せば、机や箪笥など必要最低限の家具があるだけで、ここで誰かが生活をしている様子は無かった。
『ぼーっとしてる場合じゃない。掃除から始めよう!』
雪は帽子と口元を覆っている布を外すと、そのまま腕を巻くって部屋から出る。
どこに何が置いてあるか分からなかったが、とりあえず来る時に見えた箒とちりとりで掃除を始めた。途中で雑巾も見つけたため、床拭きを終えたところで杏寿郎が戻ってきた。
「よもや!掃除をしてくれたのか!忙しくて手が行き届かないから助かる!」
『これが私の仕事ですから、炎柱様は気になさらないで下さい。』
「そうか!」
『今日からは、家事全般を私が行いますので、台所をつかってもよろしいですか?』
「うむ!」
杏寿郎の許可を得て台所へ行くと、物の見事に何もなかった。果たしてこの状態で、十分な食事は取れていたのだろうかと、雪は不思議に思った。
「食事は俺の生家で取っていた!」
『ぎゃあっ!』
「君はよく驚くな?」
『炎柱様が、急に後ろで大声出すからです!』
「ハハハ、それはすまない!」
『では、私は食材を買いに行って参ります。何か食べれない物などはございますか?』
「特にない!」
『かしこまりました。』
杏寿郎から食費を貰い、雪は商店街まで食材を買いに行く。
目当てのものをすぐに買えたので、急いで屋敷へと戻る。
『ただいま戻りました!』
「よもや!早かったな!」
『はい、目当てのものがすぐ買えたので時間はかかりませんでした。』
「そうか!俺はまた出掛けてくる!ゆっくりしていると良い。」
『はい、気をつけていってらっしゃいませ。』
杏寿郎が屋敷を出ると、雪は夕餉の支度に取り掛かる。
全ての準備が終わり、洗濯物を畳んでいると杏寿郎が帰ってきた。今回は扉が開く音で気づいたため、驚かずに済んだ。
『おかえりなさいませ。』
「……」
『どうかなさいましたか?』
「…いや!なんでもない!」