第2章 前世と今世〜不死川先生〜
「おい、どうした?」
『っ、何でもないです。少し頭痛が…』
「そうかィ。ちょっと座れや。」
『先生、どこぞのヤンキー「アァ?」何でもありません座ります失礼します。』
用意された椅子にサッと座る雪。
今更だが、自分は呼び出されたのだと思い出す。先輩のようにスマブラされるのか、膨大な課題を出されるのか…ドキドキしながら実弥の言葉を待つ。
「お前、何で今日素通りしたんだ?」
そう言って実弥も椅子に座るが、椅子を跨ぎ背もたれ側に腕を乗せる座り方だ。
『先生、やっぱヤンキーなんじゃ。』
「…いい度胸じゃねぇかァ。課題にするか?」
『そそそそ、それだけはご勘弁を!ただでさえ苦手なのに…あ、』
「ほォ…決定だな。」
『自分で自分を殴りたい…』
課題を準備するためか、実弥は椅子から立ち上がり棚のファイルを取り出す。そんな実弥の姿を見ていた雪の口から、予想もしない言葉が出る。
『風柱様…、?!』
バサっ!!ーーー
「白羽…今なんつった?」
『いや、あの……』
「記憶が戻ったのか?!」
『っ、…』
驚いた実弥に肩を掴まれた雪だったが、実弥からも記憶の話が出たことで何かがプツリと切れてしまった。
「おい!雪、答えろっ!!」
『っ、離してください!!』
「雪…」
実弥の腕を振り払い立ち上がる。
俯く雪だったが、目から涙が溢れているのが分かった。
『何なんですか?!みんなして記憶記憶って!私が何を忘れてるって言うんですか?!煉獄先生も宇髄先生も…みんな何でそんな悲しい目を私に向けるの?!止めてよ!』
「落ち着け!雪。」
『…名前で呼ばないで!』
「っ!…」
『先生。私、この学園に入学してから、毎日同じ夢を見るんです。』
「……」
『時代的に大正か明治初期あたりなんですけど、私が誰かと一緒にいるんです。』
「お前、それ…」
『お話をしたり、縁側みたいな所で座ってたり…でも顔は分からないんです。モヤがかかっていて…でも、よくその人に…』
「こうされてたろ?」
俯く雪の頭を、実弥は優しく撫でる。
その行動に驚いた雪が顔を上げると、穏やかな表情をする実弥が映る。