第3章 ハッピーエンド
その後は、王子様が「このガラスの靴に合う女性を探せ」と部下に命じて、シンデレラの足がピッタリフィットして、めでたしめでたし。
…なんだけど、私は更にその後が気になっていた。
「ミケラン、これからどうなるの?」
期待にワクワクしながら聞いてみた。
「…残念だけど期待には応えられないね
このお話はこれで終わりだから、明日からまた時間が最初に戻るんだ
本の中の世界は同じ事を永遠に繰り返すだけの世界さ…」
ミケランはちょっと俯いて「はぁ…」とため息を吐いた。
本の中の世界は、決して変わることのない時間が繰り返される。
読む度に話しが変わる本なんてないんだから、それは当たり前だ。
例え後日談を書いた本があったとしても、その本の中の世界はこの本の中の世界には入らない…。
シンデレラは明日には、またいじめられ、魔法使いが現れ、舞踏会に出て、ガラスの靴を落とす…。
本を読み終えた時はハッピーエンドだけど、この場にいるとやっぱりなんか切ない気持ちが込み上げる。
「興味本位だけで本の中の世界に来なければよかった…」
「本の中の人達は、時間が戻るとか、同じ毎日を送ってるとか分からないから、そこは現実世界の真紀ちゃんと違うとこだね」
落ち込んでいる私にミケランが言った。