怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第7章 選抜術式試験
これではもう撃つしかない。
深夜の対戦相手
「し、死んでも知りませんからね!!」
だからやけくその様に叫びながら呪法を発動した。
宙へと浮いた札が明滅し、巨大な炎が生まれる。
そして深夜へと放たれた。
深夜
「消えろ」
でも深夜は慌てずに手を炎へと向けると、一言だけ呟く。
それ以外は何もしなかったのだが、炎はあっさり消えてしまった。
深夜の対戦相手
「…!」
監督官達
「………」
この試合を見ていた誰もが言葉を失っている。
監督官達でさえ、驚いた顔で勝者を決める事すら忘れているようだ。
深夜
「………」
勝者は一目瞭然。
だから何も言われていなくても、深夜は踵を返して試合場から出て行ってしまう。
監督官1
「し、勝者は柊 深夜!」
それを見て慌てて上がった声を聞き、周りの生徒達が歓声を上げ始めた。
男子生徒1
「やっぱり柊家の方はすごいよ!!」
女子生徒1
「深夜様かっこいい…!」
どんどん盛り上がっていく歓声を全く気にしない深夜。
彼は担任の所にも行かずにこちらへと戻ってくる。
深夜
「どうせ今のも…」
グレン
「………」
でもその前にグレンへと何かを言ったのが見えた。
あそこまで声を潜められると、この距離では聞こえない。
「今度は何言ったの?」
だから戻ってきた深夜に直接聞いた。