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怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】

第7章 選抜術式試験




深夜
「愛梨ちゃんは今、僕が何をしたのかわかった?」

「私の質問はスルーですか」

深夜
「答えてくれたら答えるよー」


先程までの雰囲気はどこにいったのだろうか。
いつも通りの深夜を見て、渋々私は口を開いた。


「幻術?」


正直に言うとあまり自信はない。
それでも恐らく幻術を使ったのだろうという行動があった。

その1つが、深夜とあの男子生徒の会話中の違和感だ。
あの会話の途中や、彼が術を展開している時に深夜は幻術を挟み込んでいたのかもしれない。

そして深夜が定期的に介入した結果、術が発動しなかったのではないか。


深夜
「お見事、大正解」

「嫌な戦い方するね」

深夜
「そうかな。そんな事初めて言われたけど?」


それは単純に誰も幻術だと気づいていないからだ。
試合を見ていた生徒達も何が起きたのかわかっていない。
そもそも柊の人間にこんな事を言う人がいないだけ、という可能性もある。


「それで、グレンには何を?」

深夜
「今と同じ質問」


試合場を見ながら言った深夜。
彼の視線を追うと、試合場にはグレンが立っていた。

今から彼の試合なのだ。


「返事はどうだった?」

深夜
「さあ?わかってなさそうだったから聞かなかったよ」

「そっか」


そこで話をやめて、私達はグレンの試合を見た。

最終的に勝ったのはグレン。
でもあまりにも無様な試合だった。
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