怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第7章 選抜術式試験
そして結果も見えているように感じる試合が始まった。
五士
「男相手に頑張れる気がしないなぁ」
萎縮している対戦相手を見て、五士も本気にはなれないようだ。
戦闘態勢に入らずにへらへらと話している。
深夜
「ならお前は女殴るのが趣味なのか?」
五士
「いやいや!相手がかわい子ちゃんだったらまいったーって言ってくるまでキスしまくる戦法でいくつもりだったんですけどねぇ」
場外から笑って突っ込んだ深夜に笑顔で答える五士。
対戦相手の事から目を離しているし、何よりこんな時にまでそんな事を言えるという余裕には感心した。
「………」
深夜
「あはは、すごい顔。引いてるでしょ?」
もちろん深夜の言う通り、その発言にはドン引きしている。
五士の対戦相手
「勝てるわけない…」
五士
「ま、いいや。早く終わろ」
そんな中、いつでも攻撃できたのに対戦相手は動かなかった。
だからこのままだと試合が始まらないと思ったのだろう。
五士は人差し指で彼を呼ぶようにして、挑発していた。
五士の対戦相手
「…っ」
やるしかない。
そう思ったのであろう男子生徒はベルトに差していた剣を抜いた。
彼も私が対戦した人と同様に、刀剣を使う家柄らしい。
五士
「ほいじゃー、やろうか」
それを見ても五士は余裕の表情を浮かべたまま何もしようとしなかった。