第7章 選抜術式試験

「確かに」


そればっかりは本人とグレン以外はわからない事だ。
もう１人の従者の試合を見れば一瀬の呪法を敢えて使っていないのかわかるだろうが、彼女の試合がいつあるのかがわからない。

そもそもそこまで深夜も私も興味がある訳ではないので、それを口にはしなかった。


五士
「じゃー、俺もそろそろ行ってきます」

深夜
「五士の試合次だっけ？」

五士
「そうなんですよ〜。深夜様は俺の次ですよね？」

深夜
「うん」


これから五士、そして深夜の順番で試合がある。
私にとってはどちらも少しだけ興味がある試合だ。


五士
「愛梨ちゃんの為にかっこよーく終わらせてくるから応援しててね〜」

「…頑張ってください」


そう言って試合場の方へと向かっていく五士の背中を見送る。
すると、隣から笑い声が聞こえてきた。


「何？」

深夜
「いいや。すっごい棒読みだなーって」

「だって応援しなくてもあれくらい勝てるでしょ」


試合場ではもう五士とその対戦相手が向かい合っていて、注意事項の説明をされている。
それをへらへらと笑って聞いている五士。

でも対戦相手は全然違った。


五士の対戦相手
「くそ…、なんでよりによって初戦が五士家の方なんだ…」


完全に萎縮してしまっている。
これでは既に勝負は決まったようなものだ。


監督官２
「では、始め！」