• テキストサイズ

怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】

第7章 選抜術式試験




しかも悔しそうな顔をして時雨を見つめているのだ。


監督官2
「どうした?下がれ」


試合が終わったのなら早く試合場から出ないと次の試合に入れない。
だから監督官も動かない美十へと声をかけた。


美十
「あの…」


でも美十は下がらずに、監督官へと首を振る。
そして手を上げて5人の監督官それぞれの顔を見た。


美十
「この勝負、引き分けにしてください」

監督官3
「え?」

監督官4
「どういう事だ?」


監督官達がざわめき始める。
視線を集めている美十は、上げた手を動かして自分の頬を指差した。

そこは時雨が投げたクナイが掠めた所で、薄く切れている。


美十
「最後にここに傷をつけられました。彼女は暗記使いなので、これがもし実戦なら…」

監督官1
「致死性の毒が塗ってあるはずと言いたいのか?」

美十
「はい」


自分が勝ったのにわざわざ監督官へと訴える美十に、観戦していた生徒達は驚いていた。
担任でさえ何も言えない。


「彼女、名家に生まれて良かったね」


そんな中、私は隣で無表情のままこれを見ていた深夜に話しかける。


深夜
「本当にね。家の権力がなかったらこれだけで評価は一気に落ちてるよ」


淡々と言う深夜。
でも深夜が言う通り、監督官に意見するなんて命知らずにも程があるのだ。
だから生徒も担任もみんな驚いて声も出せない。
/ 182ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp