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怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】

第7章 選抜術式試験




なのに美十の体は動けない。
恐らく、糸に呪いが込められているのだ。


時雨
「…ふっ」


美十の動きが鈍くなったのを確認した時雨は、新たに取り出したクナイを投げようとする。
狙いはもちろん美十の首だ。

あれが当たれば死ぬ。


監督官1
「や…」


それに気づいた監督官は時雨が投げる前に静止をかけようとした。
でもその前に、想定外の事が起きる。


美十
「動っけぇぇぇ!!!」


演習場に響き渡る程の声を上げた美十。
すると頭の上の火輪光が更に赤く輝き、彼女は拘束を無視して拳を突き出した。


時雨
「なっ!?」


動けないはずなのに動いた美十の拳。
それに時雨は驚き、反応できない。


時雨
「がっ…」


そのまま美十の拳は時雨の頬へとぶつかった。
呻き声を上げた時雨は手に持っていたクナイを投げてから後方へと吹っ飛ぶ。


美十
「…っ」


クナイは美十に直撃せずに頬をかすめていた。


「…勝負ありって感じかな」

深夜
「だね」


かなり遠くまで飛ばされた時雨は動けない。
続行不可能なのでこれで試合は終了。

でもまだ動ける美十は時雨の方へと走って進もうとする。


監督官1
「待て!勝者、十条 美十!」

担任
「やったわ!さすが十条家の美十さんね!!」

美十
「………」


自分のクラスの生徒が勝ったので喜ぶ担任とは違い、美十は黙っていた。
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