怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第7章 選抜術式試験
その瞬間、呪符が爆発した。
あの呪符は先程私が使ったのと同じ種類の起爆符なのだろう。
美十
「ふふっ」
しかも爆発したのと同時にクナイが美十の方へと飛んでいったのだが、美十はあっさりと躱して突き進んで行く。
躱しきれない物は手で叩き落としながら、彼女は余裕の表情で笑っていた。
五士
「おー、十条家はやっぱすげぇな」
その動きを間近で見て感心している五士。
でももう1人は違った。
深夜
「………」
「………」
真剣に見ているものの、全く反応をしない深夜。
あの美十の動きや時雨の呪術を上手く使った罠程度では柊の人間はなんとも思わないらしい。
美十
「はい、これで終わり」
時雨
「………」
「!」
そんな事を思っている間に時雨との間合いを詰めていた美十が、笑って拳を突き出した。
これで勝負あったようにも見えるが、時雨の表情を見た私にはそう思えない。
時雨
「残念。その傲慢さがあなたを殺しました」
そして私が思った通り、時雨は焦っていなかった。
微笑みながら右手の指をパチンと鳴らす。
すると、避けられて下に落ちていたクナイの先が爆発した。
美十
「うっ…!」
その後に聞こえてきたのは美十の苦しそうな声。
何が起きているのかよく見ると、美十の拳はクナイから伸びている糸が絡まって拘束されていた。
拘束されているのは拳だけだ。