怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第4章 子供時代
さすがに5歳の私にはショックだったが、そんな感傷に浸っている暇はなかった。
東京の施設に移されてからはとにかく必死に努力するしか生きる方法がないからだ。
ここでは死への恐怖がいつもついてくる。
3ヶ月に1度ある試験で上位30%に入れなければ処分。
1年に1度ある競技会で殺し合いをさせられ、勝利しなければ処分。
そして今、その競技会が終わった所だ。
これは柊 暮人(ひいらぎ くれと)と柊 征志郎(ひいらぎ せいしろう)のどちらかの許嫁を見つける事が目的なので、最終的に生き残れるのはただ1人しかいない。
勝たなければ死ぬ。
なので私は殺し続けなくてはいけない。
「もう嫌だ…」
あれから生きる為に呪術だけでなく、幻術も体術も上達した。
でもいくら上達した所で生き残れているのは実力者ばかりだ。
勝てる保証など全くなく、強烈なストレスにいつも襲われていた。
そんな私の運命が大きく変わったのはこの日の夜。
見張り
「君、こちらへ来なさい」
辛かった競技会を終え、与えられている部屋に戻ろうとした時だ。
突然背後から見張りの人に呼ばれた。
私達、許嫁候補が生活しているこの施設には見張りが何人もいた。
許嫁候補を逃がさない事はもちろん、逃げ出した子供を捕まえて処分する為にこの人達は雇われている。
その1人に呼び止められたのだ。
「…っ」