怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第4章 子供時代
何かしてしまったのかと背筋に冷たいものが走る。
「…はい」
でも動揺し過ぎてもしなさ過ぎても不自然に見えてしまう。
だから素直に返事をして私は大人しく見張りの後を付いて行った。
*****
見張り
「………」
「………」
この人はどこまで行くつもりなのだろうか。
このまま進むとあるのは確か見張りなどの雇われた人達の控え室のはずだ。
そこへ子供の立ち入りは禁じられている。
わかっているはずなのに、この見張りは私を控え室の目の前まで連れて来た。
しかも仕組んだかの様に施設の先生方とはすれ違わずにだ。
何かがおかしい。
そう思った時にはもう遅かった。
見張り
「この中に入って」
「…ここですか?」
見張りが指差しているのは、子供1人がどうにか入れる大きさのカバン。
ここに私を入れてどうしようというのだろう。
見張り
「早く」
「でも私の意思で勝手な事はできないのでまずは許可を…」
見張り
「いいから急いで」
「!」
私の言葉を遮った見張りは少し焦っていた。
この様子だとないとは思うが、これがもし試験なら大人しく言う事を聞くべきだろう。
そうしなければ評価が悪くて殺される。
「…わかりました」
すっかり死の恐怖に囚われている私は、これ以上は考えずに大人しく従った。
*****
カバンの中は暗闇に包まれていた。