怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第7章 選抜術式試験
「うん。少なくとも私ならそういう風な戦い方を選ぶ」
この柊派の人間しかいない学校に主を守るという役目を背負って来ている従者だ。
従者は主の不利になる事はしない。
同じように役目を背負っている私は零崎家の不利になる事は絶対にしないと決めているからこそ、そう思ったのだった。
深夜
「じゃあ一瀬の呪法を使わないとして、どんな戦いになると思う?」
「それは見てみないとなんとも…」
監督官2
「では、始め!」
私の意見に納得した深夜の質問に答えていると、私の声は監督官の声にかき消されてしまう。
「………」
でも私は言い直さずに、声と同時に動き出した2人を見た。
真っ直ぐ時雨へと向かっていく美十。
呪法で増幅された彼女のスピードは異常に速い。
時雨
「…!」
普通なら反応が間に合わないようなスピードだが、時雨は反応できていた。
後方へと下がり、手を振るう。
すると袖から無数の刃物が飛び出した。
五士
「あれは短刀か?」
「…クナイですよ」
飛んでいくクナイの柄には糸がついているように見える。
あれに触れると何かしらの呪符が発動する仕組みだろう。
美十
「なるほど、暗記使いか…。姑息な一瀬家にはお似合いの力ね」
それを美十もわかっている。
だが、彼女はそのまま突っ込んでいった。
美十
「………」
美十の足が糸に触れる。