第7章 選抜術式試験

そして流れ通り始まった注意事項の説明。


深夜
「前に行こうよ」

五士
「ですねー」


その間に深夜達は移動を始める。
やはりこの試合には興味があるのだろう。


「私は別に近づかなくていいんだけど」

深夜
「そんな事言わないで行くよー」

「もう…」


私は別に近くで見なくてもここで見れれば充分なのだが、深夜が手を引いてくるので仕方なくついて行く。
こんな姿を柊の人間が見たらどうするつもりなのか。

今は美十が試合をするという事であちらに視線が集まっている。
でもここで私が文句を言うと目を引いてしまうので、大人しく手を引かれるまま歩いたのだった。


五士
「おー、すごいな。美人同士の戦いはやっぱ見がいがあるなー」

「………」


私達よりも先に見やすい位置へと移動していた五士が笑いながら呟く。
女好きを隠そうともしないその態度と発言にはもう呆れる気すらおきなかった。


深夜
「………」

「…深夜？」


そうして五士を見ていると、手がそっと解放される。
ちらりと顔を見るとやけに真剣な表情をしている深夜が目に入った。


深夜
「…これは一瀬の呪法が見れるかな」

「………」


本当に小さな声で呟いた深夜。
でもその声にはあまり期待が込められていないように感じた。


「私は見せないと思うけど」

深夜
「そうかな？」