怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第7章 選抜術式試験
そう意識した途端、顔が強ばってしまった。
深夜
「まあ今回の失態だけど、気がついたのは僕とあの従者と話を聞いたであろうグレンくらいだから大丈夫だよ」
「え…」
深夜
「一瀬の話をまともに聞く奴なんていないだろ?だから僕さえ黙ってれば全て平気なんだ」
あの行動は柊を尊敬する一般生徒である私の行動としてはあまりにもおかしかったのだ。
でも深夜の言う通り、グレン達がそれを指摘した所で意味はない。
「でも深夜が気づいたのに征志郎が気づかないなんて…」
だが指摘する人が違えば話は別だ。
一般生徒に言われるだけでも柊ではなく一瀬を味方したとして非難されるに決まっているのに、その相手が柊 征志郎だったらどうだろう。
間違いなく復讐を遂げるなんて事は不可能になり、零崎家自体にも疑惑の目が向く。
深夜
「それがあるんだよねー」
そんな最悪な想像をしていた私だが、その一言は思考を止めさせるには充分なものだった。
「…どういう事?」
深夜は確信して言っている。
だから私は声を潜めて詳しく話すように促す。
深夜
「どうもこうも征志郎はバカなんだよ」
「は?」
これは質問の答えになっているのか。
意味がわからずにそんな声が漏れてしまった。
深夜
「まあ聞いてよ」
深夜はそう言いながら耳元へと顔を近づけてくる。
深夜
「実を言うとね…」
「?」