怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第7章 選抜術式試験
生徒達
「ははは!」
すると周りで話を聞いていた生徒達も笑いだし、廊下は笑い声に包まれた。
その中には9組の生徒もいる。
今までは反応に困っていた同じクラスの生徒達だったが、深夜の態度が変わったからだろう。
グレンはバカにしていい存在だと認識したのだ。
征志郎
「もういいや、つまんねぇ。弱えならちょっかい出す気も失せたよ」
周りの反応もあってか、征志郎は興味を失って踵を返す。
柊の2人からこんな風に言われてしまったグレン。
それでもグレンは何も言い返そうとせずに座ったままだ。
これは本当に期待外れなのかもしれない。
「………」
五士や美十がグレンへと何かを言い始めたのを見て、私は今度こそ帰り始めた。
その道中で色々考えてしまう。
私は零崎家の人達だけでなく、一瀬の少女の為にも柊の人間を殺さなくてはいけない。
でもグレンより強いはずの従者ですらあの拳を避けられなかった。
これでは復讐を果たしても一瀬は一生バカにされ続けるだろう。
そうなると私のする事は無意味だ。
それがわかっているのに、とてもじゃないが命をかけられる訳がなかった。
「はぁ…」
でも私はやらなくてはいけない。
あの柊 征志郎の婚約者にならない道を歩めているだけ良い方だ。
そう気持ちをため息と共に無理矢理切り替え、グレンの事を頭から消したのだった。
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時刻は朝の8時。