怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第7章 選抜術式試験
それは昇降口に向かう為に行く方向とは逆側から感じ取れるもので、僅かに殺気が漏れている。
これは確認するべきだろうか。
「………」
あちらにはトイレがあるので自然に行く事は可能だ。
念の為、私はトイレを目指して歩き始める。
これは誰に向けられた殺意なのか。
私に向けられている可能性も考えて、自然にしつつも慎重に前を見つめた。
「…!」
少し歩くとすぐにその気配の持ち主が誰だったのか判明する。
何故なら彼はこの学校で目立つ存在の1人、柊 征志郎(ひいらぎ せいしろう)だったからだ。
廊下の端により、気に触らないように通り過ぎる。
征志郎
「おい、お前」
「…私ですか?」
でもそれは呼び止めてきた征志郎本人によって叶わなかった。
まさか面識のない私を呼び止めると思わずに聞き返してしまう。
征志郎
「そうだ。お前9組から出てきただろ?」
「はい」
征志郎
「一瀬はまだ教室にいるよな?」
彼はグレンに用があったのか。
この後、グレンは可哀想な事になりそうだ。
「一瀬ならそろそろ出てくると思います」
征志郎
「じゃあ行くか」
従者の様な女
「はい」
私の言葉を聞いて征志郎は一緒にいた女子生徒へと声をかける。
そしてすぐに9組の教室へと向かい始めた。
「………」
たまたま教室から出てきた私に聞いただけらしいので安心する。