怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第7章 選抜術式試験
五士
「とりあえずちょっと俺に紹介しろよ」
グレンが何も言わないのを気にせずに五士は彼へと近づいていく。
この五士の行動にはさすがの生徒達もどう反応していいか困っていた。
でもこんな風にこのクラスの生徒達が困るのは珍しくない。
何故ならこのクラスにいる実力、家柄共に兼ね備えている人物達が妙にグレンの事を構うからだ。
深夜に五士 典人に十条 美十。
ちなみにこのクラスには三宮 葵(さんぐう あおい)という三宮家の女もいるが、彼女は一瀬の批判も何もしない静かな人だ。
だからこのクラスでは最近グレンへどんな態度をとっていいのかがわからなくなっている生徒が多い。
それでも他のクラスの生徒や教師達、そして上級生達の態度は最初から変わらないので嫌がらせが減ったりはしていないようだ。
五士
「なー、一瀬。お前あの2人のどっちかと付き合ってたりすんの?」
グレン
「なんだよ。お前らは汚らわしい一瀬の人間とは付き合わないんじゃなかったのか?」
五士
「美人は別だよ」
「………」
男子高校生らしい話になった事で興味を失った私は今度こそ教室を出た。
小百合
「ど、どうしよ雪ちゃん…グレン様が…」
従者の女2
「いいから。大人しくしていないと」
五士に絡まれている主を見て動揺する2人の横を通り過ぎる。
「!」
そして廊下に出た瞬間、嫌な気配を感じて立ち止まった。