怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第7章 選抜術式試験
グレン
「それ1つとってもお前が気にかけるような何かは俺にはない。違うか?」
深夜
「君ってさ」
そんなグレンの言葉を聞いて、深夜は楽しそうに笑っている。
深夜
「もしそれが演技じゃないならすっごいネガティブだよね」
グレン
「生まれつきだ」
深夜
「はは、そんな君のどこを真昼は好きになったんだろうねー?」
笑いながらも不思議そうに言った深夜。
確かに言いたい事はよくわかる。
あの強すぎる上、綺麗さや優しさまで兼ね備える真昼がこのグレンのどこを好きになるのか。
単純にあまり会えないからこそ、思い出が美化されているのだろうか。
グレン
「………」
でもその答えは返ってこなかった。
さすがにグレンの気に触ったのかもしれない。
グレンは深夜から視線を外して、担任の方を向いた。
「はぁ…」
わざと煽った深夜にため息をついてから私も前を向く。
深夜
「あ、愛梨ちゃんもそっち向いちゃうの?」
「………」
深夜
「仕方ないな〜。じゃあグレンに相手してもらおう」
私に絡むのはここまでのようだ。
解放されなかったグレンに同情しつつ、後ろの声に意識を集中する。
深夜
「真昼に会ったんだって?久しぶりの再会はどうだった?」
グレン
「別に」
そんな話は聞いていないので2人きりの空間で会ったのだろう。