怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第6章 始まった学校生活
私の意見を聞いた深夜は驚いたのか、目を見開く。
でもすぐにその表情は楽しげなものに変わった。
「何、その顔」
深夜
「いーや、期待通り只者じゃない愛梨ちゃんがそう感じたのなら僕の感が狂った訳でもなさそうだなって」
「私にも変な期待しないでよ」
深夜の肩を押して距離をとろうとする。
すると深夜は軽く押しただけで、何も言わずに離れてくれた。
深夜
「それは無理かなって…ちょっと待ってよー」
逃げ道ができた私は校庭へと向かう為、深夜の横を通り過ぎる。
「待たない」
振り向かずに歩き始めた私の後ろを深夜も追いかけてきた。
そしてすぐに追いつき、並んで歩き始める。
「こうやって一緒に戻ると目立ちそうで嫌なんだけど?」
深夜
「そう?別に僕より暮人兄さんとか真昼の方が人気者で目立つ存在だけどね」
深夜も充分目立つ存在には違いない。
でも確かに今挙げた2人は深夜とは比べ物にならない。
「その真昼様の婚約者なんだから目立つのは当然でしょ」
深夜
「あはは、まあ真昼は目を引く人だから」
それは深夜自身もわかっているのだ。
「完全に勝ち組だね。一生安泰なのが確定してるし」
深夜
「それはわからないよ」
わかった上で先程の事を言ったのだからタチが悪いと思い、敢えて皮肉を言った。
でもそれを深夜は否定する。
「…どういう事?」