怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第6章 始まった学校生活
深夜
「グレンの事はずっと調べていたから探れる情報は集め終わってた。でも愛梨ちゃんは入学式からとはいえ、何もでてこないんだよ」
そう言って深夜は一歩、距離を詰めてきた。
気づかれにくくする為に木の影にいたせいで、私は深夜と木に挟まれてしまう。
深夜
「しかも君だけじゃなく、零崎家の事も最近出てきた家って事しかわからなかった。これを見ると普通ならただ力をつけてきただけだって思うだろうね」
これはもちろん聞いている。
今までは弱い立場だったけれど、私という優秀な子供が産まれたから力をつけたという事にすると当主様が言っていた。
深夜
「でも僕はこう思ったよ。本当はそんな家は存在しなくて、君を何らかの目的で入学させる為だけに作られたんじゃないかってね」
「………」
言われてみればそう考えてもおかしくない。
どうやら零崎の関係者はあまり自然に情報を残す事はできなかったようだ。
でもその僅かな違和感に気づけたのは深夜が優秀だったからだろう。
普通なら疑問に思わない程度の違和感に過ぎないので、私は問題なく入学できている。
深夜
「君は何者なんだ?」
更に距離を詰められた。
思わず後退りそうになるが、木に踵があたるだけで下がれない。
「………」
この質問をどう切り抜れば今後の行動に支障が出ないだろうか。
そう考えそうになったが、すぐにやめた。