怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】
第6章 始まった学校生活
それに気づいた人はあそこに何人いただろうか。
あの時みんな深夜の動きに圧倒され、感動していた。
恐らくほとんどの生徒が深夜の思惑通り気づいていないはずだ。
深夜
「………」
でも私が気づいてしまった事は完全な誤算だっただろう。
こちらを探るように見てくるが、これはお互い様だ。
「深夜は何か目的があって私の事を探ってたでしょ?それと同じ事を私もあなたにしているだけ」
深夜
「!」
どうやら私の考えは当たりらしい。
私はグレンとの組手はもちろん、今まで深夜の動きを観察していた。
もちろん柊に認められた婚約者の実力を図る為だ。
だから深夜に言った通り、私は深夜の事を探っている。
でもそれがお互い様だと私は言いたい。
「私の情報は何か手に入った?」
深夜がグレンに構う理由は実力を隠していると感じたからだ。
それなら私に構ってくる理由も同じようなものだとすぐに気づいた。
柊の権力を使えば隠されていてもグレンの情報も私の情報も少しなら得る事ができる。
深夜
「何もなかったよ」
「そう?じゃあただの一般生徒だってわかってくれた?」
それは意外だった。
零崎の関係者が私個人の情報を柊相手にそこまで消せるなんて思えないからだ。
深夜
「いいや、君が他の生徒とは一緒じゃないって更に確信できた」
「………」
今度は私が顔を強ばらせる番だった。