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怨念の一輪草【終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅】

第6章 始まった学校生活




来た道を振り返ったが、ここから昇降口はほとんど見えない。
なので深夜の言う通り五士に見られる可能性は低いだろう。


深夜
「それで、質問の答えだけど…」


こちらが忘れそうになっていた質問を深夜は覚えていた。


深夜
「僕は人を見る目はあると思ってたんだ」

「…?」


でも質問の答えにはなっていない深夜の言葉に、私は何を言っていいのかがわからない。


深夜
「でもさっきの様子じゃ、違ったのかなーって思い始めちゃってね」

「…ああ」


期待していたグレンが本当にただの弱者かもしれないという可能性。
表情には出ていないものの、内心は戸惑っているのだろう。


深夜
「でもなぁ…」


いつもの余裕さがない上、話が纏まらない深夜。
そんな彼を見て私はチャンスだと思った。


「あの攻撃を防御もしないで受けたからそう思うんでしょ?」

深夜
「そうだよ」

「でも何かが引っかかるんだ?」

深夜
「………」


深夜は笑ったまま何も言わない。
だから私は畳み掛ける。


「本当の実力を誰にも悟られないように気をつけてたみたいだし、せっかくスピードを緩めて防ぐ時間を与えたのに防がないんだもんね」

深夜
「………」


ここまで言って初めて深夜の仮面が外れた。
常に人が良さそうな笑顔を浮かべていた深夜の表情が固く、警戒したものになる。

そう、あの時深夜は絶妙に手を抜いていた。
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